製品やサービスを提供する際に、ユーザーが読むマニュアルや取扱説明書。翻訳をすることで、より多くの人に届けられるようになります。
では、実際にマニュアル翻訳を依頼する場合、どのようなことを知っておくとよいのでしょうか。また、注意すべきことはあるのでしょうか。
この記事では、マニュアル翻訳の種類や必要性から、翻訳会社への依頼や流れ、料金など、知っておきたいポイントをまとめています。
翻訳会社に依頼する前に、ぜひ読んでみて参考にしてください。
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翻訳依頼の料金と日数
マニュアル翻訳を翻訳会社に依頼する際の気になる点をまとめました。翻訳会社によって細かい料金は異なりますが、参考にしてください。
翻訳にかかる料金
料金・文字単価の相場は、英日翻訳で原文1ワードあたり25~35円、日英翻訳で1文字20~30円程度です。
翻訳にかかる日数
マニュアルの翻訳は、英日翻訳で1日2000ワード、日英翻訳で1日5000文字程度の処理速度で進められます。翻訳の後にレビュー、チェックや、レイアウトの調整等の工程が含まれます。
たとえば、2000ワードのマニュアルだと、最短で次のようなスケジュールとなります。
- ファイル確認/準備、翻訳者選定(1~3日程度)
- 翻訳(1~1.5日)
- レビュー(0.5~1日)
- 社内チェック(0.5~1日)
- レイアウトチェックと調整(1~2日)
- 最終確認(0.5日)
料金も日数も一般的な文書と同程度です。ただし、高度な内容が含まれる場合には時間がかかることがあります。
マニュアル翻訳とは
マニュアル翻訳とは、主に製品やサービスに付随するマニュアルや取扱説明書の翻訳のことを総称して言います。
マニュアルにはユーザーが製品やサービスを取り扱う際に必要な情報が集約されていますので、ユーザーにとっては身近で大切なものです。そのため、ユーザー目線に立ち、自然で正確な翻訳とすることが求められます。
マニュアル翻訳の種類
たとえばマニュアル翻訳と呼ばれるカテゴリーには、次のような種類があります。
- 製品やサービスのユーザーマニュアル
- 取扱説明書
- 設置・インストールに関するマニュアル
- セキュリティや安全に関する注意事項
- メンテナンスや整備に関するマニュアル
- 操作マニュアル
- 製品カタログ・リリース関連
ジャンルとしてはIT系の機器が特に多く、他にも電化製品、自動車、オーディオなど多岐にわたります。
マニュアル翻訳の必要性
翻訳の依頼は費用も手間もかかるため、必要性を理解して判断する必要があります。では、マニュアル翻訳は必要なのでしょうか。また、マニュアル翻訳をする利点はあるのでしょうか。
マニュアル翻訳が必要な理由は、ユーザーニーズがあるからです。
それだけではなく、マニュアル翻訳を一度行っておくと、今後にとって役に立つ可能性があります。
ユーザーニーズ
製品やサービスを実際に使うユーザーにとって、マニュアルの翻訳があるとないとでは使い勝手が違います。マニュアルは単純に使い方を知ることにとどまらず、ユーザーの安全や安心を担保するものです。
マニュアル翻訳があるとユーザーは安心感を得やすく、その品質は製品やサービスの信頼度にもつながります。そのため、マニュアルを適切に翻訳することは大変重要で、必要不可欠です。
アップデートにも対応
マニュアル翻訳を一度行っておくと、今後の製品やサービスのリリース時にも活かすことができます。
というのも、翻訳会社では翻訳対象箇所の原文とその翻訳結果を登録しておく翻訳メモリというものを使用していることが多くあります。また、依頼者に応じた好みや用語集も今後の反映のために作成することは少なくありません。
そのため、製品やサービスのアップデートがあった場合にはわずかな修正で済む場合が多く、次回以降の翻訳時にかかる費用や日数の削減につながります。
まったく別の製品やサービスを翻訳するとなった場合にも、このメモリのおかげで、依頼者に応じた表記や用語の選び方をできるようになるため、希望に沿った翻訳をしてもらいやすくなります。
翻訳会社の選定
マニュアル翻訳を依頼するには、どのような翻訳会社を選ぶべきでしょうか。マニュアル翻訳は、翻訳会社にとっては非常にメジャーな分野です。そのため、翻訳会社による差異は大きくはありません。
そのため、一定の品質基準があり、料金や納期が合意できる翻訳会社を選定すれば問題ないでしょう。
参考として、自社で依頼したい分野と同じ業界の案件や、有名企業を多く取り扱っているような翻訳会社は安心と言えます。
翻訳会社内でのマニュアル翻訳の位置づけ
先ほど述べたように、マニュアル翻訳の種類は広範囲にわたるため、翻訳会社ではマニュアル翻訳の案件が発生することは日常的です。そのため、どの翻訳会社にとっても一般的な内容だと言えます。
そのため翻訳会社や翻訳者は、マニュアルならではの言い回しやレイアウトに慣れていることが多いため、比較的平易な分野ではあります。
こうした理由から、翻訳会社が翻訳者に割り当てる際も、(ジャンルによって人は選ぶものの)それほど時間を要しませんし、比較的スムーズに翻訳が進行します。
機械翻訳の導入が進む
このように、マニュアル翻訳の位置づけは翻訳会社にとっては標準的なことから、最近では機械翻訳が導入されるケースが増えています。
マニュアル翻訳は決まった型があるため、クリエイティブな言い回しがそれほど必要なく、機械翻訳の出力精度も高くなることが多いです。
機械翻訳を導入すると費用や日数の削減につながることがあるため、ひとつの手段ではあるでしょう。
ただし、機械翻訳はまだまだ完璧とは言えません。品質確保のためには翻訳会社に作業フローを事前に確認しておきましょう。
翻訳時に特に大切なこと
マニュアル翻訳の品質維持としては、主に以下の4点が押さえられていることが望ましいです。これはどの分野・ジャンルにも通じる部分がありますが、特にマニュアル翻訳はユーザーの安心や安全を確保するために気を付けなければなりません。
正確な内容を伝える
マニュアル翻訳で正確な内容を伝えることは、ユーザーの期待している体験を適切に届けて満足してもらうだけに留まりません。
多くのマニュアルには、ユーザーが危険を回避するための注意事項が含まれています。こうした部分に誤訳があれば思わぬ怪我につながりかねません。
マニュアルの誤訳は製品だけではなく自社の信頼を損ねることになるため、品質の確保は大変重要です。
わかりやすい文体に整える
マニュアル翻訳は、その性質上、さまざまな人が目にするものです。そのため、わかりづらい表現やユーザーに伝わらない単語を使ってしまっては翻訳した意味がありません。
誰が手に取っても理解できる、一般的な表現や文体を使用することが大切です。
適切なレイアウト
マニュアル翻訳の多くが実際に手に取れる紙や冊子の形でしょう。ユーザー目線に立ち、翻訳の内容だけではなく翻訳後のレイアウトがユーザーにとって読みやすくなっているかも確認する必要があります。
翻訳会社では、翻訳の工程にレイアウトのチェックを含めている場合も多くあるため、併せて相談しましょう。
製品情報のイメージ化
マニュアル翻訳をするにあたっては、製品情報をイメージできることは大切です。ただ、翻訳時には製品やサービスそのものを確認できない場合も多くあります。
たとえば、原典に手順を示す文章に図形などがあれば翻訳しやすいですが、ない場合には知識や参考情報が必要となります。翻訳後の内容がきちんとつじつまがあっているか、念入りに確認するとよいでしょう。
マニュアル翻訳を依頼して顧客ニーズに応える
高品質なマニュアル翻訳は、自社の製品やサービスを多くの人に届けたい企業側のニーズだけではなく、ユーザーのニーズを満たすものです。
この記事のポイントを踏まえて、自社とユーザーの双方にとって安心感と信頼感が生まれるような、満足のいくマニュアル翻訳を依頼しましょう。
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