技術翻訳とはその名のとおり、技術系の文章の翻訳のことです。技術の分野は幅広くありますが、いずれも専門的な知識が必要になります。
翻訳力だけではなく技術の素養が問われる技術翻訳は、それこそ「高度な技術」といっても過言ではありません。
この記事では、技術翻訳の基礎的な情報から、実際に翻訳会社に依頼する際に知っておきたいことをお伝えします。
翻訳会社マイスターでは翻訳会社22社で徹底比較を行い「品質重視」「コスパ重視」「価格重視」の3つの視点からおすすめの翻訳会社を選定しました。翻訳会社選びに迷っている方はぜひ参考にしてください。
【技術翻訳】翻訳会社の料金
技術翻訳を翻訳会社に依頼する際に気になる料金、工程と日数をまとめました。依頼時に失敗しないために知っておきましょう。
翻訳料金
技術翻訳は専門性が高いため、標準的な料金よりも高く見積もったほうが安心です。文字単価と料金設定の相場は次のとおりです。
分野 | 英日翻訳 | 日英翻訳 |
---|---|---|
コンピューターマニュアル | 28円 | 20円 |
一般科学・工業技術 | 28円 | 21円 |
医学・医療・薬学 | 30円 | 30円 |
特許明細書 | 26円 | 30円 |
関連の深い分野を引用。
和文英訳は文字単価、英文和訳はワード単価。
当然ながら、それぞれの文章の難易度や専門性、依頼する翻訳会社によって料金は異なります。また、専門家による監修を付ける場合などは追加の費用が別途かかります。
工程と所要日数
技術翻訳の流れは一般的な翻訳と同じように、翻訳、レビュー、社内チェックという三段階を踏むことが多いです。
所要日数としては、英日翻訳の場合は翻訳の処理スピードが1日1000~1500ワード程度、日英翻訳の場合2000~4000文字程度が目安です。
具体的な工程と所要日数の流れについては、次の記事も参考にしてみてください。
翻訳時に監訳を入れたり、チェックの工程で監修を入れる場合には、日数がそのぶん余分にかかりますので注意が必要です。
日程や料金について、どれくらい柔軟に対応してもらえるかは翻訳会社によって異なります。依頼者の要望や納期によっても左右されるため、詳細は翻訳会社に問い合わせましょう。
共通事項として言えることは、専門性の高い分野では適切な翻訳者の確保に時間がかかるということです。なるべく早めに相談するのがよいでしょう。
技術翻訳とは
技術翻訳は、実務翻訳の中でも特に専門的な知識を必要とする翻訳を指して言います。形式としては文書が多く、内容は学術論文や文献など、特定の読者に向けたものが主となります。
そのため、技術翻訳者は翻訳力と技術に関する知識を併せ持っている必要があり、一般的な文書の翻訳よりも高度だと言えます。
技術翻訳の種類
技術翻訳と言っても、その形態や分野は幅広くあります。たとえば、次のような種類の文書があります。
- 学術論文や文献
- 研究結果、報告書
- 特許
- 取扱説明書 etc…
そして、取り扱う内容としては以下などを指します。ここにあるのは一部にすぎませんが、いずれも専門性の必要とする分野です。
- 電気、電子、機械
- 化学、科学、バイオ
- 法務
- 医学
- 経済学
- 地学
- IT、コンピューター
- 太陽光、火力、風力などの発電系システム
- 船舶 etc…
技術翻訳の難しさ
技術翻訳は、その分野の専門的な知識を必要とするため、翻訳の難易度が高いと言えます。翻訳者はただ翻訳ができるだけではなく、どれだけその分野の専門性があり適切な翻訳ができるかが求められます。
では具体的には通常の翻訳とどのような点が異なるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
技術翻訳は知識が重要
技術翻訳は先ほど挙げたようにさまざまな分野の総称で、その多くが人々の生活には密接に関わりあるものの、詳しい内容については馴染みあるものとは言えません。
たとえば化学、地学、医学などの特定の学問や、医療や船舶などの特殊な技術を要する職に関連する文章は、その分野での学習や研究、および就業経験等がないと理解が難しいでしょう。
専門的な知識がなければ、内容を理解できず、正しい訳語を選択できません。対象読者も専門性を持っていることが想定されますから、知識がない人が訳した文章はすぐに気が付くはずです。さらに、誤訳は思わぬ危険や怪我にもつながりかねません。
特許や法務などは、ある程度「型」というものがあります。ここでいう型とは、「その分野らしい表現」、「決まった言い回し」のことです。翻訳対象の型を知っているか知っていないかでは、翻訳の品質、特に読んだ時の自然さという部分では大きく変わってきます。
技術翻訳では特に、訳文を読んだ読者が、不自然さを感じない型で、かつ正しい情報を理解できるようにしなければなりません。専門性が高いため、適切な翻訳は信用問題に直結します。
テクニカルライティングの素養
技術翻訳の分野では、たびたびテクニカルライティングのスキルが求められます。翻訳会社によっては、テクニカルライティングのスキルを持っていることを登録翻訳者に必須としている場合もあります。
テクニカルライティングとは、論文や文献などを含む技術的な文章を書くスキルのことです。翻訳とは違う技能であるものの、技術翻訳に確実に活きる技能です。
テクニカルライティングのスキルは、ただ言語の置き換えではない、適した形に翻訳を仕上げるのに重要な役目を果たします。
翻訳時にポイントとなること
技術翻訳を進める際に、知っておくべきことをまとめています。こちらも依頼時の参考にしてみてください。
専門知識の把握
まずは依頼前に、翻訳を依頼したい文書はどのような専門性が必要か、また、どれくらい高度かを把握することが重要です。原典の情報を参考に、どのレベルの翻訳者を確保する必要があるか、翻訳会社は知っておく必要があります。
当然、翻訳会社内の担当者も内容を確認して適切な翻訳者の選定を行います。しかし、担当者に技術についての知識があることはあまり多くはないでしょう。
そのため、どのようなバックグラウンドがある翻訳者が適切か、伝えたほうが安心だと言えます。たとえばその分野の知識がある程度あれば対応できるのか、それともかなり高度で深い知識が求められるのか、ということです。
翻訳会社は、技術翻訳のように高度な翻訳の依頼があると、既存の登録翻訳者に専門知識の有無や対応可否を問い合わせたり、あるいは新しい翻訳者を募ったりして、対応可能者の確保に動きます。
技術翻訳の種類によって求められる知識が違うため、翻訳会社に登録されている翻訳者の数もまちまちです。過去に類似の案件を経験したことがある翻訳会社か、確認できるのであればしておきましょう。
翻訳の監修
翻訳の品質確保のために、監訳や監修を入れることも一つの案です。
監訳は翻訳中に専門的なチェックを入れることで、監修は仕上がった翻訳のみを専門的観点から監査することです。
監訳や監修を入れることで事実の裏取りやリサーチが十分に行えるため、技術文書の信頼性が高まります。監修の場合には仕上がった訳文のみを見るため、不自然な表現や意味の通らない文章に気が付きやすいです。
ただし、監訳や監修は必ずしも入れなければいけないわけではありません。入れるかどうかは翻訳担当者のレベルや、依頼者のニーズによって異なります。たとえば翻訳者の専門的なバックグラウンドが十分にあれば、監訳や監修をわざわざ入れなくても品質は保たれるでしょう。
サンプル翻訳の有用性
適切な翻訳のためには、サンプル翻訳の工程を入れることも検討するとよいでしょう。
サンプル翻訳とは、翻訳の一部を先に訳してもらい、途中でその内容をチェックして翻訳の方向性を調整する作業のことです。
そのチェックでは適切な訳語や表現を選択できているかどうか、その翻訳をするに値する翻訳者かどうかを確認できます。
サンプル翻訳の工程を入れることで、翻訳の品質確保につながり、また理想の表現や要望を伝えやすくなるために満足のいく翻訳に仕上げてもらえる可能性が高まります。
適切さと正確さが大切な技術翻訳
技術翻訳は専門性が高く、高度であるということがお分かりいただけたと思います。しかし難しいからといって、思わぬ誤訳があっては信用に関わります。内容の専門性を見極めて適切に翻訳会社に依頼し、正確な技術翻訳を仕上げてもらいましょう。
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